七つの大罪Part0
獅子王 蓮
自宅警備員。
仕事はしておらず、家に引きこもり、常にオンラインゲームをしている。
自分は何をやっても上手く出来てしまう天才だと自負している。
それはあながち間違いじゃなく、本やネットから様々な知識を身に着けている。
前日譚
蓮の最近のお気に入りお気に入りのゲームはMMORPGの"神の呼び声"。
このゲームは一部のゲーマーから指示を受け、リリースと直後にもかかわらず、多くのアクティブプレイヤーが居る。
基本的にこのゲームは複数人でチームを組んで行動をする。
ダンジョン内の探索を行う担当、戦闘を行う担当、NPCとの交渉を行う担当など1人ではカバーしきれないところを仲間に補ってもらう。
しかし、蓮は決してチームを組まず、ソロで続けている。
なぜなら、このゲーム。担当は分かれているものの、ある程度のリアル知識があれば、担当にする人が居なくてもなんとかなってしまうからだ。
蓮は他の凡人と組む気は無いと本気で思っているため、チームの誘いは全て断っている。
このゲームにはクエストをクリアしてもらえるポイントを集めることでランクが決まる。
蓮はソロプレイヤーでありながら、最高ランクである"英雄"に辿り着いたということで、ゲーム内では文字通り英雄として崇められていた。
"英雄"にたどり着いてから、しばらくしたある日、蓮の元に一通にメールが届く。
「凡人どもから開放されて?神になりませんか?」
「以下のクエストをクリアしてください!」
蓮は当然スパムだろうと思い、無視するつもりであったが、送り主は"神の呼び声"の運営からであった。
怪しく、思いつつもメールに記されているクエストを行う。
そのクエストは今までに行ってきたものとは違い、とても難易度が高い。
今までのクエストは生ぬるいと思える難易度であったが、今回は違う。
本気でやらねばクリア出来ないと直感的に蓮は理解する。
そこからの蓮は何かにとりつかれたかのようにそのクエストを続ける。
数週間かけ、ようやくこのクエストをクリアする。
クエストをクリアし、達成感に浸っていると、またメールが届く。
「おめでとうございます!このクエストをクリアした貴方は"神"として認められます!」
その文章を読んだ蓮の身体をまばゆい光が包み込む。
蓮が次に目をさますとそこは自室ではなく、真っ白な部屋であった。
何が起こったと戸惑っていると突然目の前にスーツの男が現れる。
「おめでとうございます!獅子王 蓮さん。貴方は神になりました。これからは神としてゲームを楽しんでください」
男は笑顔でそう言って1冊の本を渡す。
蓮はその本を受け取ってしまう。
そこで、人間としての蓮は終わりを迎えた。
それから彼のしてきたことと言えば、とても簡単だ。
勝手にここに人を連れて来てはその人たちがもがき苦しむ様を見て楽しむ。
人を連れてくると言っても実際に連れてくるのは、男のほうだ。
蓮がしていることは本当に見ているだけ、たまに気まぐれで自分のところに人を呼び自らの手で殺す。
そんなことを続けていたある日、探索者たちが連れてこられる。
「神である俺を楽しませてくれたまえ」
自称神となった傲慢な男。
獅子王 蓮は探索者たちにそう告げた。